坪田 昌之展 呼 吸 す る 境 界Masayuki Tsubota Exhibition
2025.12.2(火)~12.14(日)開廊:12:00~19:00(月曜休廊・最終日17:00まで)
「呼吸する境界」
私たちは日々、無数の境界線の中で生きている。内と外、意識と無意識、記憶と現在、自己と他者—これらの境界は固定されたものではなく、呼吸のように絶えず拡張と収縮を繰り返している。
本展覧会では人間の内面世界の複層性と、その最も深奥にある核心部分を彫刻的言語で探求した作品を展示する。
境界と空間を相互に浸食させることで、固定観念としての「自己」の輪郭を解体し、再構築する試みを行っている。
「Layer of self」では、自己を構成する様々な層—幼少期の記憶、社会的役割、潜在意識、感情の堆積を視覚化している。それぞれの層は独立しながらも相互に影響し合い、時として融合し、時として分離する。
この動的な関係性こそが、生きた自己のありようではないだろうか。「Core of self」では、すべての層を貫く中心軸、言葉では語り得ないものを形象化する試みである。しかし、この核心もまた不動のものではない。
呼吸と共に微細に振動し、観る者との関係性の中で絶えず変容を続けている。
これらの作品群が醸し出す「呼吸する境界」とは、固定された分離線ではなく、生命のリズムと共に脈動する膜のようなものである。この作品と対峙するとき、その境界は観る者の内なるリズムと共鳴し、新たな共振を生み出す。原始的な記憶と五感が交感することで、言語以前の深いコミュニケーションが成立する瞬間を創出したい。
この展覧会を通じて、私たちが日常的に意識することのない「境界」の存在に気づき、それが固定されたものではなく、生命と共に呼吸している動的な存在であることを感じ取っていただければと願っている。
そして、その気づきが、自己理解の新たな地平を開く契機となることを。
自然と人類、存在と不在。より深い理解への扉は、この「呼吸する境界」の向こう側に静かに佇んでいる。
〈坪田昌之 / Masayuki Tsubota 略歴〉
1976 大阪生まれ
2010 大阪芸術大学大学院芸術制作研究科彫刻修了
□ 近年の主な個展
2025 H-art Beat gallery(東京)['15,'18,'20]
Inart space (台南)
2024 Whitestone gallery(台北)
2022 LADS Gallery (大阪))['23]
2021 ギャラリー島田 (神戸)
2020 gallery MOE (熊本)
2019 福住画廊 (大阪)
2018 Whitestone Gallery (東京/長野/台北)
2016 山木美術 (大阪)['15,'14,'11,'09,'06]
ギャラリールネッサンススクエア (兵庫)
2015 Gallery LVS(韓国)
COHJU Contemporary Art (京都) ['11]
2014 The Tolman Collection Tokyo (東京)
2013 Maek Hyang Gallery (韓国)
INSA Gallery (韓国)
2011 NIKIギャラリー册 (東京)
2010 ギャラリーファインアート (大阪)
信濃橋画廊 (大阪)
2009 ファエンツァ市庁舎(イタリア)
2006 Boutwell Draper Gallery(オーストラリア)
坪田昌之 経歴 CV.pdf / Download